1. |
鬼喰い鮫
03:42
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水の中 息を止め そっと目を開けると
いつもいる 遠くの方に 大きな鮫が
海や川 池に潜ると必ずいるし
お風呂とか プールにだって時々いる
これは僕にだけ 見える幻覚だと思う
頭 視神経 どこか異常あるかな
だけどやけにリアルだし いつか噛み付いてきそうだし
いつか僕 水難事故で 死ぬ運命にあるのかな
見えるだけで 特に害は 無かったから
気にせずに 海やプールには 行っていた
夏休み 友達と海で泳いでると
足首を つかまれて 水中に引きずり込まれた
見れば 防空頭巾 モンペ姿の女
僕の 足首に 大勢 まとわりついて
そしたらさ あの鮫が猛スピードで泳ぎやってきて
次々と 幽霊たちに 噛み付いて全部食べちゃった
それから幽霊が 見えるようになったけど
いつも あの鮫が 全部食べちゃうんだ
水溜り コップの水にまで見えるようになってきた
いまではもう 水から上がり そこらへんの空中浮いてるよ
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2. |
チンチキチン
03:35
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チンチキチンと音がする
また音がする 隣の部屋から
チンチキチンと音がする
お茶碗 お箸で 叩く音
早くご飯作ってよってせかす
お腹すいたよってせかす
でも 私は一人暮らし 結婚もしていない
もちろん子供なんか いるはずないし
一人でいる部屋に並べる 三人分ご飯の用意
幸せなんか感じない ただひたすら怖いだけ
チャンチャカチャンと音がする
また音がする 隣の寝室
チャンチャカチャンと音がする
子供が遊ぶチャンバラの音
ベットで飛び跳ねて遊んじゃダメ
いったい何回言えば分かるの
でも 私は一人暮らし 結婚もしていない
もちろん子供なんか いるはずないし
一人で寝るベットが毎晩メチャクチャに荒らされてる
幸せなんか感じない ただひたすら怖いだけ
本当に私独り身だっけ
本当に家族居なかったっけ
じゃあ旦那はどこに居るの 私の親はどこに
いままで何をしてた どこで生まれた
一人で居た部屋のはずが いつの間にか大勢居る
幸せなんか感じない ただひたすら怖いだけ
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3. |
丸呑みマンション
04:20
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この部屋 湿度が高すぎて
まるで 沼の中に居るよう
かいた汗はまったく乾かず
布団はもう びしょ濡れのまま
カーペット めくればカビが生え
天井 黒い染み 広がり
壁は全部 ヌメヌメしてて
床の一部 腐り抜け落ち
なんで新築のマンションなのに
なんで湿地帯みたいになるの？
床下 覗くと水たまり
悪臭 部屋中にたちこめ
獣のような唸り声が
体中に赤い発疹
なんで新築のマンションなのに
結構大きなマンションなのに
外に出てマンション見上げる
それは 何か大きな生き物
早くここから逃げ出さないと
消化される前に逃げ出さないと
目付けられたから逃げられないかな
もう正体隠す必要ないし
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4. |
ろくろ首
03:28
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毎日のように通ってた彼の家
無意識 マンションの前まで来ちゃった
十階の部屋の明かりはついてる
今何してるの 誰といるのかな
首よ伸びろ 部屋に届くまで
伸びろ 彼を見下ろすほどに
久々 彼からのメールが届いた
「勝手に部屋はいっただろう」って言いがかり
オートロックだし入れるわけ無いじゃない
魔法使いや幽霊じゃあるまいし
首よ伸びろ 部屋に届くまで
伸びろ 彼を見下ろすほどに
私 裏切った罪悪感から
良心さいなまれ幻覚見てんのよ
首よ伸びろ 部屋に届くまで
伸びろ 彼を見下ろすほどに
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5. |
大丈夫
03:04
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全身焼かれて 皮膚は裂けめくれて
焼けただれ真っ赤に変わっても
腐敗さらに進み 皮膚は崩れ落ちて
体中 青黒く変わっても
大丈夫 こんな事では
君の事 嫌いにならない
大丈夫 大丈夫だよ
ずっと側にいて欲しいんだ
大丈夫 大丈夫だよ
そんな私 信用なら無い？
大丈夫 大丈夫だよ
それならば 証明しようか
有毒なガス吸い 呼吸出来なくなり
体中 緑色に変わっても
大丈夫 こんな事では
君の事 嫌いにならない
大丈夫 大丈夫だよ
ずっと側にいて欲しいんだ
大丈夫 大丈夫だよ
そんな私 信用なら無い？
大丈夫 大丈夫だよ
それならば 証明しようか
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6. |
スリツケル
03:02
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しがみついていた居場所 いつしか牢獄となり
守ってきたプライドは いつしか足かせとなる
全部壊れ失って 晴れて自由の身
これからは何をやっても構わない
ボクの影が夜の闇に溶け込んでくように
すりつける こすりつける
血が出るまで
後から追って来る 後悔と郷愁の念
前から迫ってくる 不安と死への恐怖
そんな物に気をとられている時間は無い
恥や外聞 無視して 走り出す
ボクの形がこの世界に記憶されるように
すりつける こすりつける
血が出るまで
ボクが居なくなってきっと皆幸せ
だからボクは好き勝手跳ね回る
ボクの影が夜の闇に溶け込んでくように
すりつける こすりつける
血が出るまで
ボクの形がこの世界に記憶されるように
すりつける こすりつける
血が出るまで
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7. |
墓穴ガール
03:46
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多分 今が一番 私 幸せな時期で
なにも 煩わしい事や 怖い事がないし
こんな穏やかな日々 ずっと続いて欲しいな
こんな気持のまま死んでいくのもいいかもね
突然 現れる 死の選択
いきなり 出てくる 死への誘惑
ああ 明日から もうずっと なにも しなくてもいいんだ
ああ 明日から もうずっと なにも考えなくていいんだ
待って なんで私が 死ななければならないの
幸せだって今考えたばかりでしょ
ちょっと気分を変えて楽しい事を考えよ
お気に入りのお茶入れて音楽でも聴こうか
頭に居座る 死の選択
頭にこびりつく 死への誘惑
ああ 明日から もうずっと なにも しなくてもいいんだ
ああ 明日から もうずっと なにも考えなくていいんだ
体の横には穴が掘られる
頭の上には土が盛られる
ああ 明日から もうずっと なにも しなくてもいいんだ
ああ 明日から もうずっと なにも考えなくていいんだ
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8. |
永遠寝太郎
03:49
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いつまで寝てるの いい加減起きて
そろそろ貴方も 仕事してくれなきゃ
私のお給料だけじゃ 家賃がヤバイ
毎日 カップ麺ばかりじゃ 体もキツイ
ガスと電気 止められ
真っ暗な部屋の中 貴方と二人きり
最近この部屋 物凄く臭い
最近この部屋 やけに虫が多い
私が仕事行ってる間に 掃除と換気
して欲しいけど 貴方はきっと 寝てるだけでしょ
ガスと電気 止められ
真っ暗な部屋の中 貴方と二人きり
洗物 溜まっちゃた流し ふと目をやると
貴方の 血がついた包丁 まだそのままで
ガスと電気 止められ
真っ暗な部屋の中 貴方と二人きり
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9. |
ガラスのナイフ
04:00
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極限まで 薄く磨いた
ガラスのように 儚くもろい
貴重品じゃないから雑に
あつかわれて すぐに砕ける
だけど ガラスの破片 刃物のように鋭利で
周りに居る人は 巻き添えくらい血まみれ
ほら 私の破片が貴方に突き刺さる
ほら 私の破片が貴方を切り刻む
気を使ってもらわなければ
軽い衝撃で すぐに壊れる
小さな音の振動だけで
大きく震えて ヒビがいくつも
繊細な弱い被害者の心 そのままで
凶暴な加害者へと華麗に変身
ほら 私の破片が貴方に突き刺さる
ほら 私の破片が貴方を切り刻む
だけど ガラスの破片 刃物のように鋭利で
周りに居る人は 巻き添えくらい血まみれ
ほら 私の破片が貴方に突き刺さる
ほら 私の破片が貴方を切り刻む
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10. |
欲しがりさん
03:29
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腕を 腕を見せて 細く白い その腕を
足を 足を見せて 細く長い 足を
首を 首を見せて 細く白い その首を
目を 目を見せて キラキラ光る その目
その中で いらない物あるんじゃないの？
そしたらさ いらない物 私にちょうだい
どうせタダでもらった物ばかりなんでしょ？
全部私持ってない 私にちょうだい
恋人を見せて 愛し合う相手を
友達を見せて 信頼してる人を
兄弟を見せて 頼りになる家族を
親を 親を見せて 愛してくれる人を
その中で いらない物あるんじゃないの？
そしたらさ いらない物 私にちょうだい
どうせタダでもらった物ばかりなんでしょ？
全部私持ってない 私にちょうだい
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